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意識・心・気付き

手放せない小さな器と、思い出の置き場所

引き出しから取り出した青い小さな器を手に持つ場面

引き出しの奥から、小さな器が出てくる。日常では使っていなくても、手に取ると片づけの動きが止まるかもしれません。器そのものより、誰かと過ごした時間や、その頃の自分に触れた気がするからです。

使う予定がないなら手放す。片づけの基準としては分かりやすい考え方です。ただ、思い出のある物を前にすると、用途だけでは決められません。器を棚に戻したくなる気持ちには、懐かしさもあれば、失うことへの抵抗も混ざります。

物を残す理由は、一つに決まらない

同じ器でも、今も形や手触りを楽しんでいるなら、暮らしの中に居場所があります。一方、目に入るたびに「もう使わないのに」と気が重くなるなら、思い出を守るために持ち続けているのかもしれません。どちらが正しいかを、外から決めることは難しいと思います。

迷う場面では、「捨てられるか」だけを問うと、答えが急に狭くなります。今の暮らしで器を見たいのか。器に結びついた出来事を覚えていたいのか。二つの問いを分けると、手元に置きたい理由が少し見えます。

思い出と持ち物の距離

物を手放しても、記憶が必ず消えるわけではありません。反対に、物を残したからといって、当時の感覚をいつでも取り戻せるわけでもありません。器は時間を閉じ込める容器というより、思い出へ向かうきっかけに近いのでしょう。

だから、写真に残して器は手放す人もいれば、器を使い直して関係を変える人もいます。しばらく保留にする選択もあります。片づけの速さより、持ち物との関係が今の自分に合っているかを確かめるほうが、迷いの中身に近づけます。

引き出しを閉める前に、器をもう一度手に取る。残すか手放すかの答えが出なくても、何を惜しんでいるのかが分かるだけで、同じ器の見え方は少し変わります。

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